なぜ大阪・関西万博は“ファーストガンダムRX-78”が選ばれたのか?―あの熱狂が再び蘇る理由

2025年大阪・関西万博で実物大のガンダムが展示されています。
そして、その主役として選ばれたのが「機動戦士ガンダム」、いわゆる“ファーストガンダム(RX-78ガンダム)”であることに、多くのファンが注目しています。
私は2009年7月~8月(東京・お台場/潮風公園)の初代実物大ガンダムは2度見に行きました。今回展示されているRX-78 ガンダムは横浜で2024年3月末まで展示されていた「RX-78F00 ガンダム」(動くガンダム)の装甲などを再利用して作られた、高さ約17メートルのガンダム像のようです。

数あるシリーズの中から、なぜいまファーストなのか?そして、なぜ多くの人がこのニュースに心を動かされたのか?今回は、ファーストガンダムの魅力を振り返りつつ、その理由を探ってみたいと思います。

目次

大阪・関西万博|なぜ今、ファーストガンダムなのか

高さ制限と片膝立ちポーズの裏事情

大阪万博のガンダムは、実は“片膝をついたポーズ”で展示されることが発表されています。このポーズ、テレビシリーズには登場しない構えですが、実は会場の高さ制限(約20m)に対応するため、そして来場者と目線を合わせ、親しみやすい印象を与える演出のために選ばれたのです。

そしてこの片膝立ち、どこか「兵士が地上に降り立つ」ような神話的な雰囲気を持っており、ファーストガンダムが持つ“戦争を通じて人間性を問う”というテーマともうまく重なって見えるのです。

富野監督の“人間的なモビルスーツ”観に通じる?

富野由悠季監督は、ガンダムを単なるロボットやスーパーヒーローとしてではなく、人間が生み出した「兵器」であり、同時に人間性を映す鏡として描いてきました。その視点から見れば、今回の展示ポーズも“機械としての威圧感”よりも“人のために存在する兵器”という哲学が感じられ、富野監督も納得してくれるかもしれません。

なぜファーストなのか―シリーズの原点としての重み

ファーストガンダムは、1979年の放送当時から革新的な作品でした。リアルロボットというジャンルの確立だけでなく、それまでの勧善懲悪なストーリーから脱却し、人間の弱さや成長、立場の違いによる正義のあり方を描いた初のアニメといっても過言ではありません。現代のSDGsや多様性の議論にも通じる“価値観の揺らぎ”を扱っていたことが、今改めて評価されている理由でもあります。

大阪・関西万博でファーストガンダムの魅力を改めて味わう

人間ドラマとしての完成度

ファーストガンダムは、ただのロボットアニメではありません。戦争の中で成長していく少年アムロ、シャアの復讐と理想、登場人物たちの葛藤と別れ――一人一人のドラマが丁寧に描かれています。

たとえば、アムロと父・テム・レイのすれ違いは、「親子の断絶」という普遍的なテーマに触れていますし、セイラ・マスとシャア(キャスバル)の兄妹関係は、ガンダムシリーズの中でも特に重層的な背景を持っています。女性キャラクターもフラウ・ボウ、ミライ、セイラと多様で、それぞれが強くも繊細な存在感を放っていました。

名言・名シーンの宝庫

ファンの間では、「認めたくないものだな、自分自身の若さ故の過ちというものを」「坊やだからさ」「まだだ、まだ終わらんよ」など、心に残るセリフが今も語り継がれています。大人になって見返すと、10代の頃には気づけなかった深いメッセージが浮かび上がるのも、ファーストならではの魅力です。

現代の作画技術で蘇るファースト

劇場版『ククルス・ドアンの島』では、オリジン準拠の現代的な作画でファーストの物語がリファインされ、多くのファンが「これは全話リメイクしてほしい!」と熱望するほどのクオリティでした。かつて“作画崩壊の回”としても有名だったこのエピソードが、見事な現代版に生まれ変わったのは象徴的です。

大阪万博での展示がきっかけで、そんな夢が再燃するかもしれません。

映画ククルス・ドアン島は陰謀暴露系の笹原俊さんがXで面白いツイートをあげていたので映画館で見に行きました。


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ガンプラブームとあの頃の熱狂

志木駅前のダイエーとニチイにダッシュしたあの頃

筆者自身も、ガンプラに熱中していた世代のひとりです。
週末になると、埼玉・志木駅近くのダイエー(閉店)やニチイ(→サティ→イオン→閉店)のおもちゃ売り場にダッシュし、運良く入荷されていれば大興奮。だいたい売れ残っているのはホワイトベースやモビルアーマー…
1/144のガンダムやシャア専用ザクを握りしめて帰ったあの喜びは、今でもはっきり覚えています。

友達同士で「どこに入荷があったらしい」と情報を交換したり、塗装や改造の腕を競ったり。学校でも“次に欲しいMS”の話題で盛り上がるなど、まさに一種の文化だったと言えるでしょう。

ファーストガンダムは単なるブームではなかった“熱”

当時のガンプラブームは、ただの流行ではなく、子どもたち一人ひとりの「想像力」や「創造力」に火をつけた文化現象でした。模型雑誌の改造例を真似したり、自作のジオラマを作ったり、ある意味で“人生初のモノづくり”だったという人も多いのではないでしょうか。

さらに言えば、ファーストガンダムとガンプラブームが結びついたからこそ、アニメ作品が「視聴するだけのもの」から「参加する文化」へと進化したとも言えます。

大阪万博で再燃する、ファーストガンダム、あの頃のワクワク感

大阪・関西万博で実物大展示されているのは、ガンダムシリーズの原点とも言える「ファーストガンダム」。
なぜ今、この初代モビルスーツが選ばれたのか。その背景には“原点回帰”だけではなく、「かつての熱狂を、世代を超えて再び感じてほしい」という想いが込められているように思います。

子どもの頃、夢中になって追いかけたモビルスーツ。その姿が、今、人生経験を積んだ私たちの目の前に“実物大”として現れるのです。それはまるで、時を超えてあの頃に戻れるような――まさにタイムマシンのような体験かもしれません。

実際、万博会場となる夢洲では、片膝をついたポーズのガンダムが、圧倒的な存在感で来場者を出迎えています。会場の高さ制限に対応しつつ、富野監督も納得したというこのポーズは、見る者に新たな感動を与えています。

SNS上でも、「まさか生きてる間に実物大ガンダムを見られるとは」「あまりの迫力に涙が出た」といった声が多数寄せられており、全国からファンが続々と詰めかけているのが現状です。

個人的な話になりますが、最近「初代としお専門切り抜き」という動画がおすすめに表示されたことをきっかけに、TVKで再放送されたTV版『機動戦士ガンダム』全43話を録画していたBDレコーダーでようやく見終えました。
視聴前に岡田斗司夫さんのガンダム解説動画を観ていたこともあり、作品に込められた演出やメッセージの緻密さに改めて驚かされました。
やはりファーストは、ただのロボットアニメではなく、思想や人間ドラマの詰まった名作だったのだと実感しました。

この万博をきっかけに、再びファーストガンダムの価値や魅力が広く語られ、次の世代にもその情熱が受け継がれていく…。そんな未来が今から楽しみでなりません。

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