昨年のお盆、靖国神社にある靖國八千代食堂で 「特攻の母」鳥濱トメの玉子丼 会津そばセット(1,680円税込) をいただきました。そして、遊就館内のレストランでは 「海軍カレー」 も提供されており、戦時中の食文化に触れる貴重な機会となりました。
早田ひな選手の発言がきっかけで靖国神社へ
この玉子丼を食べに行こうと思ったきっかけは、卓球女子日本代表・早田ひな選手のパリオリンピック帰国記者会見です。(シングルス銅・女子団体銀メダル)
彼女は「鹿児島の特攻資料館に行って、生きてること、そして卓球ができているのは当たり前じゃないということを感じたい」と発言しました。
なぜ24歳の若いアスリートが特攻に関心を持ったのか? その理由を考えていたとき、映画 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』 を観たのではないかと思い、Amazonプライムで鑑賞しました。


「特攻の母」鳥濱トメと富屋食堂の玉子丼
この映画の中で印象的だったのが、鳥濱トメさん という女性。彼女は鹿児島・知覧の食堂「富屋食堂」の女将で、多くの特攻隊員を送り出していました。その姿から「特攻の母」と呼ばれ、若者たちの最後の食事を用意し、心の拠り所となっていたのです。
近年、特攻について知らない若者も多いと聞きます。だからこそ、靖国神社や知覧特攻平和会館で彼らの歴史を学ぶことは意義深いと感じます。
靖国神社の遊就館とは?何度訪れても新たな発見がある
靖国神社の 遊就館 には何度も足を運んでいます。入館料は 大人1,000円、大学生500円、中学生・高校生300円、小学生以下無料 です。すでに4回ほど訪れていますが、行くたびに新しい発見があります。
特に興味深いのは、戦闘機以外の 特攻兵器 です。特攻と聞くと、ゼロ戦や隼といった戦闘機を思い浮かべるかもしれませんが、実際には 回天(人間魚雷)や震洋(特攻ボート) など、さまざまな兵器がありました。
「右翼なの?」と聞かれることについて
患者さんに「靖国神社で玉子丼を食べた」と話すと、時々「右翼なの?」と聞かれます。
しかし、私にとって靖国神社は特別な場所です。私の 父の兄(伯父)は昭和19年7月22日に20歳で湖南省長沙野戦病院で戦病死し、靖国に祀られています。これはコロナ禍で治療院を休業していたときに足を運び、御祭神調査を行ってもらい確認した事実です。
また、私の父は若い頃、靖国神社で奉納相撲を取っていました。靖国神社に足を運ぶのは、政治的な思想ではなく、家族の歴史と向き合うためでもあります。


靖国神社の食事「鳥濱トメの玉子丼」と「海軍カレー」
さて、肝心の 「鳥濱トメの玉子丼」 ですが、上品な甘みがあり、とても美味しい一杯 でした。ただし、私にはボリュームが少なめ に感じられました。1,680円 という価格のわりに、お腹いっぱいにはなりません。(女性なら十分満足できる量 かもしれません。)
しかし、これは仕方のないことです。この玉子丼は、実際に特攻隊員が食べていたレシピを忠実に再現したもの だからです。戦時中の食事は質素で、貴重な食材を少しずつ分け合っていました。そう考えると、この一杯の玉子丼が持つ意味は大きいと感じます。
また、玉子丼の収益の一部は、特攻資料館「富屋食堂 ホタル館」の整備や活動に寄付 されているとのこと。食事を通じて歴史を学びながら、その保存活動に貢献できるのは意義深いことだと感じました。
なお、注文してから料理が運ばれてくるまで、思ったよりも時間がかかりました。 混雑時はさらに待つことが予想されるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。 ゆっくりと歴史に思いを馳せながら、食事を楽しむのが良いでしょう。
遊就館の「海軍カレー」もおすすめ

靖国神社に行ったら、遊就館1階の玄関ホール内にある 茶寮「結」 で提供されている 「海軍カレー」 も試してみてください。
海軍カレーは、日本海軍が船上で栄養バランスを考えて作った食事で、現在のカレーライス文化の元になったと言われています。船員たちは曜日感覚を失わないように 「金曜日はカレーの日」 として定期的に食べていたそうです。
このカレーは、戦時中のレシピをもとに作られたもので、具材はシンプルながらもコクがあり、どこか懐かしさを感じる味でした。カレー好きの方にはぜひ一度味わってほしい一品です。
靖国神社に行く機会があればぜひ鳥濱トメの玉子丼を味わってほしい
靖国神社を訪れる機会があれば、ぜひ 「鳥濱トメの玉子丼」 と 「海軍カレー」 を味わってみてください。そして、遊就館で特攻隊員たちの遺書や遺品に触れ、彼らの生きた時代を感じてほしいと思います。
また、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を鑑賞するのもおすすめ です。この映画は、戦争という時代の中で生きた若者たちの想いを描いており、靖国神社や特攻隊の歴史をより深く理解する手助けになるでしょう。
それが、歴史を忘れないことにつながるのではないでしょうか。

